今回は、自作のしかけ絵本について。
プロフィールにも書いていますが、私はここ数年、手づくりしかけ絵本コンクールに挑戦しています。
全くの初心者から始めて、4度の応募をしてきました。
1番最近の作品が、『ぶんぶんしまこさんの きをつけなくちゃ』。
昨年度の第5回手づくりしかけ絵本コンクールで、優秀賞を受賞しました✨
今年2月に賞の発表、作品展がありましたので、少し時間は経っておりますが、感想などをレポートしたいと思います。
長い記事になりますので、作品だけ見てみたいという方は、目次より「入賞作品動画の紹介」にジャンプしてご覧ください。
手づくりしかけ絵本コンクールについて
コンクールの紹介を少し。
2016年度よりスタートした、新潟県三条市主催のコンクールです。
絵本コンクールの中でも、「しかけ絵本」に的を絞ったコンクールはめずらしいとのこと。
三条市は私の地元なのですが、三条市立図書館の栄分館「えほほん」では、2014年にしかけ絵本蔵書日本一をめざしたプロジェクトをおこない、今では1,800冊のしかけ絵本が集まっています。
このコンクールも、そのことをアピールすべく発足したようです。
一地方自治体主催のコンクールですが、ローカル対象のものではなく、最優秀賞賞金100万円をめざして全国から応募があります(私のような地元勢はむしろ少数派で、数%ほど)。
絵本作家のきむらゆういち先生(審査員長)、いしかわこうじ先生(第2回目より)をはじめ、審査員の方々が豪華なので、「この先生方に作品を見ていただけるんだ!賞に入れば講評もいただける!」というのがいつも大きなモチベーションでした。
↓↓ コンクールについて詳しくは下記URL(三条市のホームページ)をご参照ください。
過去の最優秀賞作品動画へのリンクや、審査員評が載った受賞作品目録もあります。
応募作『ぶんぶんしまこさんの きをつけなくちゃ』の内容
今回応募したのは、蚊が主人公の作品です。
○あらすじ○
蚊の「しまこさん」のおいしいもの探し。
花のみつや うれた木の実をめがけて ぶーんと飛びます。
だけど気をつけなくちゃ、こわい敵がかくれてるかも⁉
あまいしるが好きだけど、最高のごちそうは、やっぱり…
透明シートのめくりしかけとポップアップとの組み合わせで「蚊が弧を描いて飛ぶ」シーンを表現しています。
シンプルだけどハッと驚く、ユーモアのある作品をめざしました。
今回の記事では動画紹介がメインなので細かく書きませんが、作品についての詳しい解説やエピソードも、また後日改めて記事にしたい思っています。
入賞作品動画の紹介
主催の三条市が入賞作品の動画を朗読つきで作成してくださっています🎵
(第4回までは動画公開は最優秀賞のみだったので、私にとっては自分の作品が広く公開されるのは初めてです!)
とってもありがたく思います😆
7作品まとめて収録されていますが、再生順は下記のとおり。
最優秀賞 『さかなの味』 ロボフリーさん
優秀賞 『ぶんぶんしまこさんのきをつけなくちゃ』 おおたに るみこ 5:17~8:10
優秀賞 『つちのなかから』 平塚 啓さん
入選 『かがみのむこうがわ』 てづか あみさん
入選 『ひつじのふわり』 中林 未孔さん
しかけ賞 『にげろ』 にった かずよしさん
ストーリー賞 『コーヒーでものみながら』 中村 幸嗣さん
私の作品は2番目、5:17~8:10 あたりです。3分間程度なので、もし見ていただけたら大変うれしいです💕
小さい画面だとしかけがわかりづらいので、全画面表示を推奨します。
(でもなぜか裏表紙と途中のめくりシーンが省略されている😢いつか完全版を公開できるといいな)
ご興味ある方は、ぜひ全作品をご覧になってくださいね。
最優秀賞『さかなの味』は手が込んでいてさすがですし、私個人としては『ひつじのふわり』のとぼけたかわいらしさ、『にげろ』のシンプルで効果的なしかけが特に好きです。
展示会で原物も見ていますが、こうして動画になっていると、いつでも見られてうれしいです。
今回の入賞作品はたまたまなのか、「食べる・食べられる」をモチーフにしたものが多く、それらが全く違うテイストで表現されていたのが面白いなと思いました。
結果発表を受けて
今回いただいた優秀賞は、最優秀賞に次ぐ2番目の賞です。
これで3度目の優秀賞なので、周りからは「(最優秀賞に届かなくて)残念だったね」と言われたりもしたのですが、自分の気持ちとしては、届かなかった残念さより評価をいただけた安堵の方がずっと大きかったです。
今回、ウイルス禍により審査が延期となり(結局一部リモート審査となったとのこと)、結果発表と展示も1ヶ月遅れました。
遅れる旨は連絡もいただいていたのですが、いつもより結果を待っている時間が長かったのは少々しんどかったです。
落選したのかなと悲観的にもなり、落ち着かない心を持て余していました。
「優秀賞です」と電話が来た時には「よかった~~~~(脱力)」という感じでした。
今作は4回目の応募にして初めてポップアップを多めに取り入れたこともあり(これまでの作品はプルタブしかけがメインでした)、単純なしかけにも関わらず、かなり苦しんで作りました。
なので、賞という結果が出て報われた思いが大きかったです。
いつもは表彰式があり、その際に審査員の方々から講評をいただいたり、受賞者の方々とお話ししたりすることが楽しみなのですが、今回はウイルス禍で中止😢
とても寂しいけれど、このご時世、審査自体や展示会が中止とならなかっただけでも十分恵まれていると考えなければいけないですね。
講評は目録に載った文章のみですが、とてもありがたい評価をいただいたので、大事に受け止めたいと思います。
自分の作品のねらいは伝わったようで、「ひねりを効かせたギミック」「トリッキーなしかけ」とのコメントがあり、そういったものを感じていただけたことに安堵しました。
作るときは毎回、「これを面白いと思っているのは私だけなんじゃ…」「意図が全く伝わらなかったらどうしよう」などという不安に駆られるので、まずは「伝わった」「わかってもらえた」ということにホッとします。
この作品は構成を練るのにかなり時間を割き、見せ方を工夫したつもりだったので、その工夫を汲みとっていただけたこともうれしかったです。
応募作品展示会の様子
展示会は2月末より、三条市の3会場で消毒・換気等のウイルス対策をとった上で行われました。
触ることが必須のしかけ絵本の展示をどうするのかと思っていたのですが、使い捨ての手袋を使用しての鑑賞となりました。
作品は見ていただくためにつくっているものなので、展示会が中止にならなかったことが何よりでした。
応募者の方や興味のあった方でも、ウイルス禍のために来られなかった方が今回は多くいらっしゃったと思います。
私は幸い地元住まいのため、全ての作品を見ることができました。
応募数は例年より少なかったのですが、手づくり感あふれるあたたかみのある作品や、斬新な工夫がされた作品など、面白い作品はたくさんありました。
出版を前提としないコンクールなので、みなさんとても自由に手をかけて作っていらっしゃって、熱や思いを感じました。
ウイルス禍に加え、マスコミ等による宣伝があまり無かったので、来場者は少ないかと心配したのですが、思ったより人が来ていました。
地元でも徐々にコンクールについての認知度も上がって、毎年楽しみにしている方もおられたようです。
おわりに
昨年度の第5回手づくりしかけ絵本コンクール、私にとって4回目のコンクール挑戦が終了しました。
まだはっきりわからないですが、今年度はこのコンクールは開催されない?…かもしれません。
作品目録にいつも載る次回の案内が無いですし、市の予算でも確認できません。
第5回という区切りのいい数字で終了なのかもしれませんし、ウイルス禍で休止なのかもしれません(未確認ですので、応募を考えている方は正確な情報を調べてくださいね)。
さて、1つの目標が終わってどうするか?
このコンクールがあったおかげでしかけ絵本づくりを始めることができましたし、絵本作家の先生など専門家の方に自分の作品を見ていただく機会を得たり、展示会に作品を並べていだだいたりすることもできました。
絵本づくりをなさっている他の応募者さんにお会いして話をすることもできました。
どれもコンクールがなければ私には決してできなかった、やろうとさえ思わなかったことです。
でも4回入賞して思うのは、コンクールへの応募・入賞は出発点であってゴールではない、ということです。
特に、出版を前提としていないコンクールの場合は、そして最高賞に届かなかった場合は、審査発表と展示で終了というのが普通です。
貴重な体験ができてそれで満足して完了、というのもありだとは思いますが、もっと作品を多くの人に見ていただきたいと思えば、自分でアクションを起こさないといけないなと。
少なくとも今年1年は、新作をつくるのではなく、『しまこさん』含め今までの作品を活かしていくことに時間を使いたいと思っています。
すでに三条市に使用許可をいただいていますので、改稿した上で何冊か製本し、市立図書館に納めるのが目下の目標です。
読んでいただくために何ができるかは他にも考えており、このブログを始めたことも1つのアプローチです。
自分の作品を気に入ってくれる誰かがいることを信じて、やれるだけのことをやってみるつもりです。
長い記事になりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございました。
※作品、目録、賞状の写真については三条市の許可を得て掲載しています。