しかけ絵本のアトリエ

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あこがれの射水市大島絵本館に行ってきました

先日、あこがれだった富山県射水市大島絵本館に行ってきました!

・・・なんだか現在の新型コロナ感染状況をみると言いづらくなってしまいましたが、行ったときはまだそんなに「最多更新」とかしていなかったのです💦もちろん感染対策はしっかりして行きました。

人生初の富山県
私の住む新潟県富山県はお隣どうしで気候や風土も似ていると思うんですが、「糸魚川-静岡構造線」(東日本文化と西日本文化の境界でもある)を挟んでいるため、交通や文化上は少し遠さを感じます。
実際、電車乗り継いで4時間以上かかりましたので、時間距離としては東京(2時間ちょっと)よりずっと遠いのです。日帰りでは慌ただしいので、1泊してきました。
富山の風景は空・海・川の青と木々の緑、雲の白があざやか。歴史を感じる街並みとゆったり静かな雰囲気が印象に残るところでした。

さて、この時期に出かけたのは目当てがありまして、絵本館で主催している
✨「おおしま国際手づくり絵本コンクール」入賞入選作品展示✨

を見たかったのです!

絵本の世界を「感じる・作る・伝える」、たっぷり楽しめるミュージアム

射水市大島絵本館は、旧大島町開町100周年を記念した事業としてスタートし、1994年に開館したそうです。
↓ 公式サイトへのリンク

www.ehonkan.or.jp

立地的には市役所のすぐそばではあるのですが、市街地の真ん中という感じではなく、周りは田んぼが多く静かなところ。

敷地は小高い丘のようになっていて、芝生が広がっています。

芝生の上には銀色のオブジェがいくつかあって、絵本館に入る前からわくわくしました。風で動いたり、水琴窟になっていたり、空を映す水たまりのようになっていたり。
自然と溶け込むアート、好きだなあ。

空を映すベンチ(かな?)

美しい建物の形は船をイメージしているとのこと。長谷川逸子さんの設計で、賞も受賞されているそうです。
中は自然光が入って明るく、空間の仕切りも少なく開放的。28年前に建ったとのことですが、そんな風に全然見えない、新しく現代的な雰囲気です。

一万冊の絵本を読めるライブラリー(しかけ絵本も充実していました)のほか、原画展が観られるギャラリ―、館内カフェの小さなカフェギャラリー、絵本アニメが観られるシアターに、創作が体験できるワークショップルームなど・・・
あらゆる方向からたっぷり絵本を楽しめるようになっています。絵本好きにはたまらない!

そして、私がこの絵本館にあこがれをもっていた最大の理由は、設備だけでなくソフト面が充実していることです。
開館当時から手づくり絵本コンクール(最優秀賞作品は出版)を続けているほか、製本教室や創作教室を開いていたり、充実した広報誌『マグちゃん通信』を発行していたり・・・。継続して活動されていることに感銘を受けました。
大都市でない、地方の施設でこれだけの取り組みができるってすごい。
文化は種をまくだけじゃなくて、育てて根づくことが理想だと思っているので、すばらしいことだなあと。

さて、私が訪れた日は平日だったためかとっても空いていて、シアターを貸し切り状態で楽しめたり、カフェの店員さんや絵本館の職員さんといろいろ話をしたり、スペシャルな体験ができました。

でもひとつだけ、気になったことが。自然光いっぱいの建物のため、絵本がだいぶ日焼けしている・・・!発売3年程度の本の背表紙がもう白々していたりして、ちょっとショックでした。
「明るく開放的な造り」と「本の保護」の両立は難しいのかな?

 

おおしま国際手づくり絵本コンクールの入賞入選作品たち

私がこのコンクールのことを知ったのは、自分でしかけ絵本を作るようになってから。地元の三条市主催の「手づくりしかけ絵本コンクール」に応募する中、ほかのコンクールのことも知りたくて調べたときに、Webでみかけました。
公式サイトには今までの入賞作品の紹介なども載っていて、読むだけでも興味深くて、ずっと気になっていました。

このたびようやく絵本館に来ることができ、初めて実物の作品を見られる!とわくわくしながら鑑賞。

この期間の展示はおとな部門の入賞入選作品だけだったのですが(全作品が並ぶ参加作品展やジュニア部門は別の期間)、それだけでもかなりボリュームがありました。48点をじっくり観ていたら、見応え十分、だいぶ集中力使いました。

興味深かったのは、入賞作品がバラエティに富んでいたこと。最優秀賞の「ゆる面白い」脱力系の魅力がある作品をはじめ、細やかに作り込んだ布絵本、デザイン的な完成度の高い作品、日常を描いたほのぼのした作品、斬新なアイディアで勢いのある作品、民話調のもの・・・。「良さ」の方向性が様々でした。
みなさん、楽しんでのびのび作っていらっしゃるのが伝わってきて、読んでいてエネルギーをいただきました。

個人的には、『きんじや と きのここびと』という作品の、「きのこの力で靴底をなおす」という驚きのストーリーと画面の美しさに一番惹かれました。

こうして絵本館に来てみて、コンクール受賞作品を観て、「やっぱり私も応募したいな!」という気持ちが高まりました。
今まで出していた三条市しかけ絵本コンクールがひっそり終了してしまって、どうしようかなと思っていたのです。
現在は過去作品の再制作に取り組んでいるため、来年はまだ難しいかもしれないけど、再来年までにはきっと新作を作って挑戦してみよう!
美しかった富山の街と素敵な絵本館、コンクール応募者として再訪できたらな、と思います。