しかけ絵本のアトリエ

お気に入りの絵本、しかけ絵本づくりのこと、ポップアップカードなどについて

〈寅年〉ポップアップしかけ絵本『とらのおでまし』平行折りの動物たち

新年あけましておめでとうございます。

2022年は寅年!ということで、虎のしかけ絵本ってあったかな?と考えたら、思い当たったのがこれです。

セブ・ブラウン 作/木坂涼 訳『とらのおでまし』(BL出版

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とらのおでまし

 

『とらのおでまし』レビュー

タイトルと表紙では「とら」が目立っていますが、特別虎だけがメインなわけでなく、ページをめくるごとにさまざまな動物が立ち上がるポップアップしかけ絵本です。

表紙をめくると、まず登場するのが表題の「とら」。ゆったり歩く姿が見開きの真ん中に立ち上がります。
次をめくるとゆうゆうと泳ぐ「くじら」。それから「くま」、「ぞう」、「きりん」と続きます。

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順番に立ち上がる動物たちに短い詩が添えられているだけの、いたってシンプルな絵本です。

「くじら」だけは少し違いますが、ほかの動物たちは、ポップアップの構造もほぼ同じ。〈平行折り〉を使ったとっても単純な、四つん這いに直立する動物の形。
最後の「きりん」の首が動かせる以外は、特にひねりもありません。

だけど、なんだかいいんです。

シンプルな絵と形ですっくと立ちあがる動物たち、それが次々に登場するだけで楽しいものだな!そう感じて、印象に残っていた本です。

 

〈平行折り〉の動物ポップアップを作ってみる

もちろん見るだけでもいいのですが、この本を見ていると「作ってみようかな?」という気持ちも湧いてきます。
なにせ単純なつくりなので、すぐに真似できそう。

基本の形は、〈平行折り〉などと呼ばれるしかけです。

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折り線が台紙見開きの中心線に対して平行になっている、〈平行折り〉。ななめ折り(Vフォールド)と並ぶポップアップの基本的な形です。
この場合は左右対称に作り、動物の胴体と見立てます。

首の部分を斜めに折り、のりしろを作ります。

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そこに頭となる別パーツを貼り付け。

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ベースの形はこのとおり。

不要な部分を除くように、動物の形に切りとって、

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絵をつけたら、虎!・・・に見えるかな?
※今回は仮止めテープで組み立てたりばらしたりしながら作りました

細部の形を少し変えれば、猫でもうさぎでも鹿でも、4本脚の動物はたいてい同じ要領で作れてしまいます。
簡単なので、お子様でもあれこれ作って楽しめそうです。

おまけにもう一冊紹介:動物のポップアップ絵本『アニマルギャラリー』

虎は登場しないのですが、動物のポップアップしかけ絵本ということで、もう1冊。

デイビッド・ペルハム作/おがわやすこ訳『アニマルギャラリー』(大日本絵画

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アニマル ギャラリー (しかけえほん)

こちらも、見開きの真ん中に動物が立ちあがるポップアップ絵本。
小さめで厚みがある絵本です。
ポップアップ見本帳みたいな感じで、本文は動物の名前のみ。
「ぺんぎん」「わに」「となかい」など、8種類の動物がとびだします。虎はないけれど「らいおん」は出てきますよ。

しかけは、『とらのおでまし』に比べると複雑で、形や動きにバリエーションがあります。
平行折りだけでなく、ななめ折りでとび出す動物もあり、つくりとしても「あれ、どうなっているのかな?」と思うような面白さがあります。
私は、最初に出てくる「ぺんぎん」の手がピョコっと動くのが好きです。

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David Pelhamは『Trail』(『私の歩いた道』)や『にゃんくろう』のシリーズなど、しかけ絵本を多数手がけている作家。さすがによくできているなあ、と思います。


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さて、昨年の春にブログを開始してから、初めて迎えた新年です。
ささやかなブログですが、「誰かが読んでくれるかもしれない」と思いながら好きなことについて綴るのは、なかなか楽しいものだなと感じています。
今年も、ゆっくりペースになるとは思いますが、しかけ絵本の魅力や自分の作品などを発信していくつもりでおります。
どうぞよろしくお願いいたします。