しかけ絵本のアトリエ

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しかけ絵本紹介:ゆるゆる動いて気持ちもほぐす『おばけのたいそう』〈くさりつきしかけ絵本〉

6月とは思えない暑さが続いていますね。みなさま、お疲れではないでしょうか?
そんなときは、ちょっと気持ちがほぐれる、ユニークなしかけ絵本を。

ジャック・デュケノワおばけのたいそう〈くさりつきしかけえほん〉(大日本絵画,2013)
※画像はamazonへのリンクです

おばけのたいそう (くさりつきしかけえほん)

「輪郭線」がふにゃんと動く!曲線、不定形という面白さ

さて、聞き慣れない〈くさりつきしかけえほん〉とは・・・?
表紙の写真をご覧のとおり。おばけのうで部分、輪郭が鎖になっている!
鎖の両端だけが留められていて、本を傾けると重力で動いて形が変わるんです。
たるーん、ゆるーん、おばけの腕が右へ左へ。

見本となる絵が載っているので、それと同じ形におばけを動かしてみよう!というチャレンジを楽しめます
ゲーム感覚の絵本で、「読む」というよりは「遊ぶ」、「しかけ絵本」というよりは「おもちゃ絵本」といった方がぴったりくるかもしれません。

絵の輪郭線そのものがしかけで動くっていう発想、新鮮です。
しかもカチッと定まった動きじゃなくて、ふにゃんふにゃんと曲線で、不定形に動くのがなんとも楽しい。こちらの気持ちもやわらかくゆるめてくれるみたい。

糸や紐でなく、鎖を使うというのがポイントですね。うまくいい感じの曲線を描いて動いてくれます。

一目でしくみがわかるような単純なしかけ、だけど面白い、だから面白い。
堅苦しい理屈抜きに、たるーん、ゆるーん、何も考えずに楽しめます!

 

デュケノワのおちゃめなおばけ

このおばけの絵、見覚えがあるではないでしょうか。
ジャック・デュケノワ(Jacques Duquennoy)はフランスの作家。ロングセラーの『おばけパーティ』(1995)など、「なかよしおばけシリーズ」として、おちゃめなおばけたちの絵本をたくさん出していて、世界で愛されています。
怖さは全然なくて、ユーモラスなおばけたちが、楽しそうにわいわい過ごしているのがほほえましい絵本。

おばけパーティ

デュケノワの描くおばけ、軽やかでおしゃれで、邪気がなくって(おばけなのに)、とってもかわいい。

『おばけのたいそう』のおばけも、のんびりしたニコニコ顔。3本の線で描いたような単純な笑顔がなんとも気が抜けたかわいさで、見ているとつい自分の顔もゆるんでしまいます。

 

つい手にとりたくなる!「たいそう」チャレンジは4種類

動かして挑戦する「たいそう」は4種類あります。

その1 ストレッチ…。(表紙になっている おばけのうで)
その2 むしむしコース。(むしのからだをくねくね)
その3 ねこのしっぽゆらし。(ねこのしっぽを振ったり巻いたり)
その4 かみのけたいそう。(おばけのかみのけをゆらす)

見本どおりの形にするの、意外と難しいです。全部できるとちょっとした達成感。

この本を目につくところに置いておくと、見るたびおばけの笑顔になごみます。そしてちょっと動かしたくなる。
正直に言うと、いざ遊び始めると5分くらいで飽きます(笑 あくまで私の場合)。でも、少し時間をおいて次に目に入ったときは、不思議とまた手にとりたくなる。そんな魅力的な絵本です。

さて、「おすすめしたい」と思って紹介してきたものの、この本、残念ながら絶版になっています。
大日本絵画に問い合わせてみたのですが、増刷の予定はないそうです・・・。
発売から5年経たないくらいで入手しづらくなってしまいました(私は新品を買いそびれ、中古で購入)。いい絵本が短期間で市場から消えてしまうのは悲しい(>_<) 

ここまで読んで「欲しい」と思ってくださった方も、思うように手に入らないかもしれません。ただ、You Tubeで英語版の動画があります。見て癒されてくださいね。


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