しかけ絵本のアトリエ

お気に入りの絵本、しかけ絵本づくりのこと、ポップアップカードなどについて

しかけ絵本紹介:「食べる」をモチーフにした小さい子向けの2冊

出産祝いなどに小さい子向けのしかけ絵本を探すと、シンプルでとびきり楽しい本に出会うことがよくあります。

その中でも、「食べる」をモチーフにした2冊をご紹介します。

すぎはらけいたろう『たべるのだあれ?(とびだすえほん)』と、よねづゆうすけ『もぐもぐもぐ』です。

動物たちがお口パクパク!
すぎはらけいたろう『たべるのだあれ?(とびだすえほん)

↓↓ 画像はAmazonへのリンクです

たべるのだあれ? (とびだすえほん)

 

2020年発行。動物の口が立体になった、シンプルなポップアップしかけ絵本です


www.youtube.com

すぎはらけいたろうさんのチャンネルでフル動画が公開されていました。
わたなべたねさんの朗読付きです(なんてかわいい声!)

↓ 内容はこんな感じ。

左ページにバナナの絵。「バナナたべるのだあれ?
右ページ「はーい!」だれかの手。

 ↓↓ 2つ折りになっている右ページをさらにめくると… ↓↓

ウッキッキ おさるさん」おさるさんの顔が!
モグモグモグモグ おいしいなあページを開閉すると、お口をパクパク

このパターンの繰り返しでいろいろな動物が出てくるのですが、食べものと手を見て「だれかな?」と予想する面白さ、顔が見えたときのインパクト、口をパクパク動かすユーモラスさ、そしてリズム感。
絵本らしい楽しさが凝縮されています。

読む前は、正直「口をパクパクするポップアップ?ほかでも見たことあるなあ」と新鮮味は無いかと思ったのですが、実物を読むとそのすばらしさに感嘆してしまいました。

口のしかけ、出てくる動物によって形が違うんです
シンプルな形なのに、その動物の個性を見事に表現しています。やぎさんの口なんか笑っちゃいます。
口の立体は別パーツを貼り付けているわけではなく、1枚の紙に切り込みを入れて折っただけとのこと!
よく見ると確かに…。そんな単純な構造でこんなに多彩な表現ができてしまうとは驚きます。
「でもそれだと、口の中は穴になってしまうのでは?」と思いましたが、口の中の絵は背中合わせになった次ページの裏側に印刷してあるようです。
構造のシンプルさは、壊れにくさにもつながります。
真似して簡単に作れそうなので、それも楽しいですね。

口の形の違いだけでなく、食べる音の違い、食べものが口の中でどうなっているか、動物たちそれぞれの豊かな表情…見どころがいっぱい。 

絵もとても鮮やかかつかわいく、特に「顔」は大きさが絶妙(子どもの顔の大きさに近い)なせいもあって、パッと惹きつけられます。

この絵本はたまたま別件を調べていたときにネット上でみつけました。
「なんでこんな人気のありそうな本を今まで知らなかったんだろう?」と疑問に思ったら、昨年の発売からずっと生産が追いついていなかったようです。
近くの書店では見たことがありませんでした。

 また、記事を書き始めたときには知らなかったのですが、作者のfacebookによると

「イタリア・ミラノに本部を置く国際的デザインコンペA' Design Award(エーダッシュデザインアワード)で、とびだす絵本“たべるのだあれ?”が金賞を受賞しました!」

とのことです!
すばらしい!でもまた在庫切れになるかな💧

  

食べものがお口に入っちゃう!
よねづゆうすけ『もぐもぐもぐ

↓↓ 画像はAmazonへのリンクです

もぐもぐもぐ (講談社の幼児えほん)

こちらは2013年発行の穴あきしかけ絵本。上の作品よりさらにシンプルです。

もぐ もぐ もぐ|数ページ読める|絵本ナビ : よねづ ゆうすけ みんなの声・通販

↑↑ リンク先の絵本ナビのページでバーチャル試し読みができます。
といっても、バーチャルだとしかけの感じが伝わりにくいので、少し解説を。

見開きの左ページにチーズ、右ページにねずみさんの顔。ねずみさんのお口がくりぬかれて穴になっています。
「ねずみさん ちーず だーいすき!」

↓↓ ページをめくると… ↓↓

ねずみさんのお口の中にチーズが
「むしゃ むしゃ むしゃ ああ おいしい!」

…というわけです。

ページをめくるだけでお口の中に食べものが入っちゃう
それだけの単純なしかけですけど、なんて楽しい!素敵なアイディア。

食べると動物の顔がおいしそうな笑顔に変わるのも、見ていてうれしくなってしまいます。

このパターンがさまざまな動物で繰り返されていきますが、食べものが違っていたり、食べる音が違っていたり。最後はちょっとひとひねり。
裏表紙までお話が続いていて、遊び心があるところが素敵です。

穴があいているだけのボードブックですので壊す心配も少なく、赤ちゃんや小さい子にも扱いやすいと思います。

よねづゆうすけさんは小さい子向けの絵本をたくさん作っていらっしゃいますが、どれもシンプルながら工夫されていて、アイディアと遊び心たっぷりで、大人が読んでも面白いです。
私はお気に入りがいくつもありますので、また別の機会にも紹介したいと思います。

まとめ

ここまで、「食べる」をモチーフにしたおすすめ2冊をご紹介しました。

並べてみると構成がよく似ていますね。

でも、似ているようでいて、それぞれのコンセプトを表現しきったそれぞれにすばらしい2冊だと思います!