しかけ絵本やポップアップカードを、これから作ってみたいという方へ。
しかけのしくみを勉強するのには、よい教本がいろいろ出ています。
私の場合は、ほとんど素養のない状態でいきなりしかけ絵本コンクールに挑戦しましたが、にわか勉強はこうした教本無しにはできませんでした。
特に役に立った4冊を、その特徴を比較しつつ、実際に使った感想とともにご紹介します。
- ①デビッド・A.カーター 『実物で学ぶしかけ絵本の基礎知識ポップアップ』
- ②こづま 美千子、わく はじめ『しかけ絵本の基礎知識 プルタブ 基本と応用』
- ③キース・フィンチ 『ポップアップ・デザイナー入門: ペーパー・エンジニアリングのテクニック 』
- ④Duncan Birmingham『Pop-Up Design and Paper Mechanics: How to Make Folding Paper Sculpture』
①デビッド・A.カーター
『実物で学ぶしかけ絵本の基礎知識ポップアップ』
『あかまるちゃん(One Red Dot)』で有名なDavid A. Carterさんのポップアップ教本。
かなり大型の本です。
実物見本帳といった形式で、型紙等は無く、「仕組みを見てわかる」ための本。
単なる図解だけではなくポップアップの実物が載っていますので、一目瞭然です。
ポップアップのみならず、円盤しかけ、プルタブしかけについても基本的なものは載っています。
「しかけってどんなものがあるかな?」という基本をシンプルに概観できるので、入門にぴったり。「まずは」の1冊に。
「カーターさんの本で学べる!」という嬉しさもあります(^^)
ただし、実際にこれを応用して何かオリジナル作品を作るとなったときには、説明が簡潔すぎてよくわからない…ということになるかもしれません。
複雑なものを作りたい方は、基本はこれで押さえつつ、別の本を買い足すとよいと思います。
②こづま 美千子、わく はじめ
『しかけ絵本の基礎知識 プルタブ 基本と応用』
こちらはプルタブしかけに特化した教本です。
テンプレート集の形式。
しかけ絵本といえばまずポップアップが人気ですが、プルタブ(つまみひき)しかけも一大ジャンルです。
この本があれば、プルタブしかけの基本はひととおり知ることができると思います。
基本の構造を学べる型紙と、絵をつけた応用例の型紙があり、コピーして組み立てて作ります(一部作図も必要)。
応用例も、ユーモアがあって面白いです。
私は自作の2作目・3作目のしかけ絵本がプルタブ作品で、この本は大いに役立ちました。
基本構造の型紙で作ったものを並べて動かしながら、「この動きとこの動きを組み合わせたらどうか?」などと、アイディアを練ったのを覚えています。
③キース・フィンチ
『ポップアップ・デザイナー入門: ペーパー・エンジニアリングのテクニック 』
①のカーターの本と同じく、ポップアップとプルタブ、円盤の基本をバッチリ押さえつつ、さらに実践的に詳しく学べます。
この本が優れているのは、本そのものを台紙として作るワークブック形式であること。
そして、接着剤さえあれば、ほかの道具がほとんどいらないこと。
めんどくさがり屋さん(私)、手軽に試したい人にぜひおすすめ。
懐かしの雑誌の「ふろく」みたいな感じで、本自体に部品が内蔵されており、ミシン目でペリペリ取り外せばハサミいらず。
本のページそのものが台紙で、のりしろも印刷されているので、接着剤をつけて貼ればハイ完成!
簡単便利、とっても早くできて、どんどん先に進めます。爽快!
基本的なしかけに加え、デザイン的な「ボーナスポップアップ」もあるので楽しいです。
全部作り終われば、本自体が見本帳になります。
素晴らしい本ですが、欠点が少々…。接着剤がつきにくいこと。紙がつるつるしていて張りがありすぎるので、一旦くっついてもはがれてきます。
スティックのり、両面テープ、テープのり、木工用ボンド、どれもはがれます…。
強力な瞬間接着剤はまだ試していないので、それなら大丈夫かもしれません。
あと、正確にどの部分かは忘れてしまいましたが、ちょっと設計ミスかな?と思われる箇所が2つくらいあったと思います(勘違いだったらごめんなさい)。作ればわかると思うので、大きな問題ではないですが。
欠点を差し引いても、画期的ないい本です。
④Duncan Birmingham『Pop-Up Design and Paper Mechanics: How to Make Folding Paper Sculpture』
ダンカン・バーニンガムさんの教本。英語の本です。
オールカラーの図説と応用ポップアップのテンプレートという構成。
この本は…ひとことでいうと最強!です。
見やすい、詳しい、バリエーション豊富。
V-フォールド(基本の斜め折り)ひとつとっても、角度の違いなどバリエーションごとに細かく図で解説しています。
基本のしかけは、定規や分度器を使わず感覚的に簡単に作れるよう図解してあるので、子どももとっつきやすいです。
その一方、角度計算や長さの比率など数値的な解説もあるため、オリジナルのポップアップの設計で迷ったときは、大いに助けになります。
テンプレートもダイナミックで楽しいだけでなく、基本技をどう応用できるかの例として勉強になります。
また、動画との連携も魅力。
Duncan BirminghamのYouTube動画”The Pop-Up Channel”はこの本をベースに解説しているので、併せて見ればよりよくわかります。
この動画も、惜しみなく様々な技術の解説があり、こんなに教えちゃっていいの??と思うくらいです。
そんな最強の本ですが、難点をあえて言うとまあ…英語だということ。
私も義務教育+α 英語を勉強しているはずなのですが、すらすらとはいかず(^^;)
でも図でだいたいわかるし、よく出てくる単語さえ調べれば理解は難しくないです。
ご紹介した本はどれもそれぞれ素晴らしく、「どれかを選ぶ」というよりは複数平行して参照すると良いと思います。
…が、「1冊で済ませたい!」という方にもし選ぶならば、③か④でしょうか。
短期間でひととおり技術をマスターしたい方には③、英語が苦にならない方・より深く学びたい方は④。
私の場合は、4冊どの本も現役で役立っています!
※記事中、本の表紙画像はamazonへのリンクです。